★両片思い 「ここのカフェいい雰囲気ですね」 彼女が僕にそう問いかけた。僕はそれに答えるように 「ここのカフェ、僕のお気に入りなんですよ」 そう答えた。 すると彼女は笑ってこういった。 「そうなんですね、青葉さんが気に入る場所はほんとに素敵な場所ばかりですね!私もここが気に入りました」 どきん 僕の胸の音が鳴り止まない。彼女はいつも僕をときめかせる。 あぁ、僕は彼女の笑顔が好きなんだ。この笑顔を守りたいといつも思う。 「青葉さん?どうしたんですか?」 彼女が僕を心配そうに見ているのに気づき、僕は姿勢を正しこういった。 「なんでもないですよ土屋さん!」 そう元気よく答えた。 すると彼女は安心したように 「よかったです」 そうにこやかに笑った。 それからしばらく彼女と色んなことを話した。 今度は水族館に行くのも楽しいだろうとか、また一緒にこのカフェに来て落ち着くのもいいだろうなど、たくさんのことを話しているうちにすっかり夜になっていた。 閉店間際まで2人で話し込んでいたので僕たちは急いで店を出た。 「閉店時間までいたなんて驚きですね、青葉さん」 「そうだね」 …そういえば、学生時代にも似たような時があったな…確かあれは高校2年の秋。 同じクラスで隣の席になった彼女と仲良くなり、一緒に下校した時駅近くのカフェによって2人で長々と話していたな…その時に、彼女への恋心が生まれたような気がする…… 思えばそんな時が懐かしく感じる。 「…ばさん、青葉さん!!」 「あ、どうしたの?土屋さん」 僕がそう聞き返すと彼女は嬉しそうな顔をしてこう言った。 「見てください。とっても綺麗なイルミネーションです!!」 彼女がそう言ったので、顔を上げるとそこにはキラキラと輝くイルミネーションのツリーがあった。 「ほんとだ!とってもきれいだね、土屋さん」 そう言い僕達はしばらくそこでツリーを眺めていた。 〜〜〜 「青葉さん、さっきのツリーとっても素敵でしたね。 …やっぱり冬の海辺は寒いですね、寒くないですか?」 その彼女の問いかけに僕は 「暖かい格好をしてるので大丈夫です!」 そう答えた。 確かに冬の海辺は寒いが夜空が映る海は綺麗だ。 そんなことを思い、僕は足を止めた。 足を止めた僕を彼女は振り返って尋ねた。 「青葉さん?どうしたんですか?」 …… 「土屋さん。ひとつどうしても伝えたいことがあるんです」 そう切り出し、彼女はびっくりしていたようだが、微笑み何も言わずに聞いてくれた。 「僕はまだまだ未熟者です。ですが、君に…君にそばにいてほしい…」 すると彼女はぎゅっと抱きしめてくれた。 そして、涙ぐみながら「はい!」と答えてくれた。 ★スタッフ 小説:恋音 イラスト:ぎゅーにゅー。 ★公開日 2022年11月13日 ★登場キャラクター ・土屋 なずな(つちや なずな) |